【祝い肴の種類と意味】おせち料理解説
祝い肴の種類と意味
おせちの祝い肴には一年の計が元旦にあるように五穀豊穣、家内安全、子孫繁栄、無病息災、健康長寿、国家安泰、武運長久、商売繁盛などを祈願して縁起を担ぐ、日本人の心が込められています。
- きんとん(金団)=金色の塊。金運
- 数の子=子宝に恵まれる。子孫繁栄。からすみも同様
- 黒豆=健康で長生き(まめに暮らす)
- ごまめ(古女)=まめに勤め働く
- 田作り=五穀豊穣(いわしを田の肥料にしたので田作りという)
- 伊達巻=派手でめでたい。威勢の良い男
- 昆布巻き=よろこぶ。結び昆布
- 錦玉子=財宝
- 陣笠しいたけ=武運長久
10たて(盾)=武運長久
11矢羽根羹=武運長久
12かちぐり(勝栗)=出陣、勝利祈願
13日出かまぼこ=国家隆盛
14紅白なます=国家安泰
15八つ頭=出世(人の頭になる)
16くわい(慈姑)=招来有望、やがて芽が出る(松笠くわい、=松竹梅の松)
17ちょろぎ(長呂儀・千代呂木)=養老長寿
18鶴の小いも=長寿鶴亀
19亀甲しいたけ=長寿鶴亀
20梅にんじん=松竹梅の梅
21松笠あわび=松竹梅の松
22えび=養老長寿。偕老洞穴
23蓮根=見通しが良い
24小鯛=めでたい
25竹ちしゃとう(千社塔)= 松竹梅の松
【ご妊娠されている女性の身体に良い食材・悪い食材】
ご妊娠されている女性の身体に良い食材・悪い食材
- お身体に良い食材
干しなつめ、焼き栗、芋、わかめ、青のり、あわび、かつお、いりこ など
- お身体に悪い食材
甘草、梨、梅、すもも、からもも、木の芽、くわい、はじかみ、蓮根、鮎、鮭、かに、桑の実、氷、にら、ひうお、うなぎ、鴨肉、ウサギ、鹿、ざくろ、茄子、いろいろな冷やしもの、生の食材 など
【一緒に食べると体に悪影響のある組み合わせ】
- うなぎと梅干
- あわびと青梅
- 天ぷらとスイカ
- はまぐりとミカン
- あゆとごぼう
- びわと小豆
- かにと熟柿
- どじょう汁とトロロ
- そばとスイカ
- そばと田螺
- そばとイノシシ
- じゃがいもとハッカ
- 鯉と胡椒、小豆
- ウドンとすいか
- 金柑とさつまいも
- くるみと唐辛子
【婦人画報 大正15年 北大路魯山人 凝った日本料理 原文②】
どんなにおいしいものでも器物が悪くては価値が失われるように中身が珍肴であるとともにその器物も珍品が要求されてくる。そこでいろいろな高価な器物が用いられてくるのであるが例えば、食器として珍重がられる明時代の赤絵とか、染付の食器、あるいは又日本のものではこくたんなどのような器物がむしろお金高であって、1つの茶碗が何百円、あるいは何千円するものを用いるようになってくる。こうした器物などに凝りだしたら、際限のないことであって、むしろ食物というより、食器の収集というような自慢がいわゆる料理の自慢となってくるのである。昔茶人秀吉から拝領したという茶碗が一国の所領よりも高価なものであったという話もこうした美的鑑賞の意味からだんだん打ちづけられてくるのであるが、今日では抹茶茶碗などは実に高価な物ああって、何万円という値のものは少なくない。
食物として果実類の中でも随分贅沢なものがあるが、日本産で山科の木村園などからできる葡萄は百目8円もして、あの小さな1粒が2、30銭にもついているがこれらはいちぶの貴族にしかわたっていない品である。もちろん粒といい光沢といい甘さといい普通の葡萄では味い得られないものであるが、しかしなにれにしても、これらは贅沢品ということができよう。
【婦人画報 大正15年 北大路魯山人 凝った日本料理 原文①】
婦人画報 大正15年 北大路魯山人 凝った日本料理 原文①
日本料理で最も贅沢なものといえば、茶人の会席膳などであるが、しかしこうしたものでもりょうりそのものよりもむしろ、その什器にあって珍奇高価な目を驚かせるものではない。一体日本料理の材料rは豊富なために支那料理の如く高価だというようなものは少ないようである。真似し得られないというよりも、それを日常そうした高価な料理を食べているという事柄が贅沢という意味にもなるが、日本料理としてはそう贅沢なものはあまり見られないようである。
私の子供の時分に聞いた話であるが、ある非常に食道楽の人がいていろんなものを食べ飽き、ある料理屋に行ってなんでもいいから珍しいものを食べさせてくれといって、出さしたのがすっぽんスープで煮た卯の花であった。もちろんそれは非常に味の良いものであったが、また非常に値段が高かったので流石の食通も驚いてどういうわけでそんなに高いのかと聞くと、それはすっぽんを幾度もつぶしてそのスープで煮たため材料に金がかかったということであるが、これ等も贅沢といえば贅沢な料理である。
あるいはまた嵯峨の三軒家で茶人などが食べる茶漬けは大変贅沢なものであるというが、これはごりという魚の佃煮が非常に高価なものになっていて、1升20円から25円もするほどでその佃煮でお茶漬けを食べたらいくらでも食べられる。
これなども贅沢な食物の1つであろう。それからまた京都の料理屋辺りでは鯛の身のところをあらにして1皿いくらで極めて易く売っているが、つまりこれは料理屋で鯛の肉眼を料理に使うので、目玉だけが必要であとは不要いところからその身を捨て売りにするわけである。鯛の肉眼料理は1尾から2人前即ち目玉2個が料理に使われその目玉を食わんがために鯛を潰すのであるから高い料理になるのである。
クチコといってなまこの干したものがあるが100匁が20円もするもので酒のツマにしたり吸い物に落としたりして食べるものであるがこれらは材料として、最も高いものである。そこをいくと支那の料理に使う白木耳は銀耳といって1種キクラゲに似た物や燕の巣などは日本では見られない高価な料理となっていて、支那では片方の掌にこれをもち、片方の掌に金をもってどっちが重いかというくらいこの燕の巣は金よりも高いと言われる高価な食材である。私たちが日常使用している。カワハギの肝なども非常に美味なものだが、この魚は身の方は一向に美味しくないもので、この肝だけが料理に使われ、あとは捨てるところからこれも比較的ぜいたくなものとも言えるがこの他ハモやタイの肝なども中々珍味である。
現在日本の料理屋で贅沢な食べ物といえば鮎の洗いなどでそれも京都とか岐阜あたりからわざわざ生かして持ってきてこれを洗いにして食べるところから倍にも何倍にも価がつくというようなところで、贅沢な料理になるのである。
このように材料や料理は、それほど珍しいというようなものではないけれども、この料理に伴って贅沢なものとして見られるのは食器類である。
【婦人画報 大正15年 北大路魯山人 小鳥の鋤焼② 原文】
小鳥に限らずなんでも鋤焼をするときは先ず、初めに汁をこしらえる。その方法は丼の中に肉を全部入れてその上に仮に百目の牛肉であれば1合ほど酒をいれ、それに醤油と砂糖を入れ、肉をジャポジャポさせて混ぜ合わせ甘口の人は甘く、辛口の人は辛目にその味を決めます。そしてもし汁を多くしたい時は酒の分量を多くすればよいのです。但し、初めにあまり味を濃くすると煮詰まってまずくなるからいくらか薄めの加減がよろしいです。
尚この場合に用いる酒は、上等のものほど味が良くアルコールは必要としないが香りのよい酒がよいのです。みりんは味がくどすぎていけません。醤油でもキッコーマンやヤマサのような濃いものは刺身などは良いがすき焼きの時は薄醤油がよい、ヤマサでもたれに別に調味して用いることもあるが、一番良いのは龍野などが味が良いようです。ついでに小鳥の見分け方について言えばつぐみでもうずらでも外から見てその肌に黄色く脂肪の乗っているのが美味しいものです。腹のところや尻のくろくなっているのは古くなったのです。小鳥の中でうまいのは、つぐみ、山はと、うずら、山しぎの類です。うずらは野生よりも養殖したものは更に美味しく、つぐみは京都あたりのが非常にうまいようです。一体つぐみという鳥は、遠くシベリアからのわたり鳥で途中は海洋を越すために食餌を取りません。それでこれが日本にわたってだんだん餌を食べながら南の方に行くので京都あたりでたべるのはギフから来るので調度脂肪が体に乗って一番美味しくなったものである故です。
婦人画報 大正15年 北大路魯山人 小鳥の鋤焼① 原文
婦人画報 大正15年 北大路魯山人 小鳥の鋤焼
寒の折の家庭料理には、なんといっても鋤焼が一番でしょう。中でも牛肉鶏肉の鋤焼は、普通ですが最も趣が多いのは小鳥類の鋤焼です。すき焼きというのは昔百姓が山へ行って小鳥を捕らえたとき、携えて居た鋤を炭火で熱し、その上に小鳥のネクを乗せ焼きながら食べたのが始まりです。肉に味を付けることなどは色々と試みたあとのことでしょう。その後この方法がやや進歩してきて一般的になりかけたのは、鷹匠が狩猟に出たときに草鞋形の厚さ1分くらいの荒鉄に縁をつけたものを幾個も携えて行き捕らえた小鳥の肉を醤油を付けてその上で焼いて食べたものです。それが進歩して今日のように調味料を加えたり、又肉の他にいろんな野菜を入れて煮る風になったので、本当の鋤焼は何もいれずにただ肉を焼いて食べるのです。
実際の味のいいところは、肉を煮過ぎず、両面の上側に火が通れば中は半熟くらいのところが良いのです。煮過ぎるとせっかくの肉の味を失います。肉屋で鋤焼を食べる時でも、もし食べきれずに残った場合には水気をすっかり取り鍋の上で肉だけビーフステーキのようにして食べると又結構なものです。
さて小鳥の鋤焼ですが、一体小鳥料理といえば、たいていは焼くか、たたいて玉にしそれを吸い物にするくらいに考えている向きが多いですが、少し大きい小鳥でしたら、鋤焼にすれば非常に美味しいご馳走です。その方法は極簡単で先ず小鳥を解き、細い骨のあるところと、肉の固まったダキ身のところをわけて、骨のある部分だけ叩きます。肉は弾力のあるところが美味なのですからダキ身は叩いてはいけません。そして、雀なら1羽を2つくらいに肉を取り、つぐみなら、4つくらいで鳩なら8つくらいにというように口の中に一口くらいに入るおおきさに切って普通の牛肉の鋤焼の場合と同様野菜を加えて煮れば良いのです。それに小鳥は脳みそが最もうまいのですから頭は捨ててはいけません。口ばしの方だけ喉の半分から切って捨て、のうみそと頭を残しておいて、喉の骨はたたき、頭はそのままにして煮るのです。ここは骨とも柔らかで非常に美味いものです。
鋤焼を美味しく食べるには汁の下限が大切です。肉屋や鳥屋で食べると美味しいが自宅のはまずいという人がありますがこれはその汁の加減にあって肉屋ではあらかじめしるができていてそれで煮るから美味しいのです。