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【北大路魯山人の料理感】原文

北大路魯山人の料理感

出汁の取り方と煮方  素人の方が料理をすると美味くできないのは、どういうわけかと申しますと、材料にばかり重きを置いて、肝心の煮だしを粗末にするためであります。家庭料理を見ておりますと出汁をとるのも、かつお節をホンの少し入れて、出汁をとりますし、酒、塩、などは安いものを使います。これでは、どんなに材料が良くても美味しく出来るわけがありません。油揚げと豆腐の煮付けでも、南瓜を煮ても出汁を良くして煮方を上手にすれば、立派なモノができます。材料を買う時は500円高くても平気なのに、鰹節や塩などなくなる調味料に関しては出し惜しみする。仮に1回の料理に鰹節を1袋使っても1000円もいかない。しかし、1度の料理に1袋も使いません。

また、酒にしても同じことがいえ、出汁を要するものは思い切って出汁のたくさん入れることです。

お汁と煮物の出汁が必要な時はどっさりと煮立たせた中へ入れて、すぐ火を消し。澄んだところで漉します、これが吸い物の出汁です。漉した鰹節は2番出汁をとり、煮物に使います。鰹節は背側は味が軽いが腹側は脂分で味が濃厚になります。

南瓜、大根、芋などは濃い出汁をたっぷりといれ、汁がなくなるまでゆっくり煮るのが秘訣です。形が崩れないように、また味が一方ばかりにしみないように時々混ぜて万遍なく行き渡らせなければなりません。イイダコは煮出汁を半分位まで煮詰めていれます。基本的に蛸は酒と醤油を半々にして、煮立たせタコをサッと入れてスグに食べるのが一番美味い煮方です。

煮物をするのに、醤油がいくらなどと分量を申しますと、それにばかりとらわれてかえって、美味いものは作れません。

それよりは、その時に応じた料理をしなければなりません。ふくよかな方や痩せた方では趣向が違いますが、お酒を飲む方と甘いものが好きな方で好みが違います。そこは料理人の機転がようされます。甘党の人に辛いものを出してはどんなにおいしい料理でも美味しく食べさせることはできません。