ご家庭で簡単懐石料理。 ブログ

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 【婦人画報 大正15年 北大路魯山人 小鳥の鋤焼② 原文】

小鳥に限らずなんでも鋤焼をするときは先ず、初めに汁をこしらえる。その方法は丼の中に肉を全部入れてその上に仮に百目の牛肉であれば1合ほど酒をいれ、それに醤油と砂糖を入れ、肉をジャポジャポさせて混ぜ合わせ甘口の人は甘く、辛口の人は辛目にその味を決めます。そしてもし汁を多くしたい時は酒の分量を多くすればよいのです。但し、初めにあまり味を濃くすると煮詰まってまずくなるからいくらか薄めの加減がよろしいです。

尚この場合に用いる酒は、上等のものほど味が良くアルコールは必要としないが香りのよい酒がよいのです。みりんは味がくどすぎていけません。醤油でもキッコーマンやヤマサのような濃いものは刺身などは良いがすき焼きの時は薄醤油がよい、ヤマサでもたれに別に調味して用いることもあるが、一番良いのは龍野などが味が良いようです。ついでに小鳥の見分け方について言えばつぐみでもうずらでも外から見てその肌に黄色く脂肪の乗っているのが美味しいものです。腹のところや尻のくろくなっているのは古くなったのです。小鳥の中でうまいのは、つぐみ、山はと、うずら、山しぎの類です。うずらは野生よりも養殖したものは更に美味しく、つぐみは京都あたりのが非常にうまいようです。一体つぐみという鳥は、遠くシベリアからのわたり鳥で途中は海洋を越すために食餌を取りません。それでこれが日本にわたってだんだん餌を食べながら南の方に行くので京都あたりでたべるのはギフから来るので調度脂肪が体に乗って一番美味しくなったものである故です。